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修了生・在校生の活躍

「Piranesi&MicroGDS アワード2005」3位入賞
日本最古の劇場建築「金丸座」を役者、観客ごとリアルに再現する

Piranesi&MicroGDSアワード発表会イベント(2006年2月)
「アワード2005 特別賞受賞作品制作秘話」より

四国職業能力開発大学校は、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置運営する大学校として、産業界が求める実践的なエンジニアの養成を目指し、幅広い技術教育を行っている。
そんな同校の住居環境科・山下研究室では、総合制作実習として、日本最古の劇場建築といわれ国の重要文化財にも指定されている「金毘羅大芝居(金丸座)」(香川県琴平町)の創設当時を3Dモデルデータで再現。
さらにCGを駆使した舞台装置の動作、開口の仕組みの解明や、季節・時間ごとの採光シミュレーションなど興味深い研究を行っている。

日本最古の劇場建築をリアルに再現

研究の一環として当時の金丸座の光環境が再現され、四国職業能力開発大学校 住居環境科 山下研究室 神田梓 氏はPiranesiを使って、建物だけでなく歌舞伎役者や観客も含めた当時の上演風景を復元しようと試みた。氏はさらにその成果を「Piranesi&MicroGDS アワード2005」に応募。3位入賞を果たしたのである。
「建築プレゼンテーションにおいて重要なのは、設計者の意図をクライアントに的確に伝えることです。そのためには視覚的な要素がポイントです。特に設計者と受け手の間に食い違いが起きないようにするため、プレゼンテーションでも生活感の演出が必要で、たとえば内観の家具や各種の添景、外観なら周りの風景や植栽など、ディテールが求められます。
また、ツール自体も2Dから3Dまでさまざまなものが出ています。そこで、復元された金丸座の3Dモデルに当時の歌舞伎上演風景を再現することで、2D、3Dソフトウェアを駆使した新しいプレゼンテーションのあり方について考えてみたわけです」。
3位入賞作品となった神田氏の作品「金丸座/九金毘羅大芝居」は、当時の光環境をシミュレートして生成した薄暗い蝋燭照明の芝居小屋の中、舞台上の役者も客席を埋め尽くした観客も当時の衣裳風体のまま、見事に再現されている。いわゆる建築パースとはまったく異なる方向性を持った、個性あふれる作品となっている。

3D点景の活用がリアリティを向上させる

神田氏の作業は、まず点景の作成から始まった。通常なら既存の点景データの転用なり加工なりを行うところだが、なんといっても題材が江戸時代の風物だけに人物など既存の点景データは使えない。神田氏は独自に集めた古い文献などの中から不要になったものを切り取って加工を施し、点景を作っていった。
「まずPhotoshopなどで不要な部分を削除し、それから色合いなどを調整してPiranesiのファイル形式に保存していきました」。その一方で、金丸座の3DモデルもPiranesiで使えるようにするため、Piranesiのプラグインを使って出力した。このとき環境設定で輝度の値を45%に設定し、明るさを調整している。そしてレンダリングをかけたのち、Piranesiでの作業が始まった。
まず作成した観客たちの点景の配置である。各キャラクタがそれぞれ升席に座っているよう配置するのがポイントだった。「このような場合、2次元ではレイヤを変えて配置してから遠近感を出すため大きさの調整が必要ですが、Piranesiはそのまま3次元的に任意の配置ができるので非常に便利です。点景がこれだけ大量にあるので、Piranesiのこの機能なしでは配置は困難だったでしょう」。
さらに舞台上の役者についても、役者だけに明りを照らすため、うしろに建物の点景を配置したのち、手前側に役者の点景を配置した。また、光については当時の自然採光の光を再現するため場内を暗くし、唯一の照明である蝋燭の効果を出すために光源を放射状フェードの3Dにして表現した。
「今回の制作を通じて、3Dの点景を活用することでCGパースのリアリティが大きく向上すると感じました。これは建築界でも一般的になっていくでしょう。その意味でも、Piranesiの点景機能はとても重要ですね」。

神田 梓さん
神田 梓さん

金丸座/旧金比羅大芝居(蝋燭照明による芝居風景図)
3位受賞作品
金丸座/旧金比羅大芝居
(蝋燭照明による芝居風景図)

金丸座/旧金比羅大芝居(江戸風景図)
金丸座/旧金比羅大芝居
(江戸風景図)

金丸座/旧金比羅大芝居(鳥瞰図)
金丸座/旧金比羅大芝居
(鳥瞰図)

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